東京高等裁判所 平成10年(ネ)1069号 判決 1998年7月16日
大阪府大阪市中央区東心斎橋一丁目九番二三号
控訴人
株式会社永光
右代表者代表取締役
小山良
東京都台東区駒形二丁目五番四号
被控訴人
株式会社バンダイ
右代表者代表取締役
茂木隆
右訴訟代理人弁護士
伊藤真
同
小林幸夫
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決中被控訴人に関する部分は、控訴人勝訴部分を除き、これを取り消す。
2 被控訴人の控訴人に対する請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二 当事者の主張
当事者双方の主張関係は、原判決八頁六行目の「ボタン」を「操作ボタン」と、同一一頁七行目、八行目及び一七頁一一行目の各「原告両名」をいずれも「被控訴人及び株式会社ウイズ」と、それぞれ改めるほかは、原判決の事実欄「第二当事者の主張」(四頁四行ないし二〇頁八行)と同一であるから、これを引用する。
(なお、控訴人は、当審において、(1)控訴人は訴外ケイデイワイと共同でイ号商品を輸入販売していないこと、(2)原告商品とイ号、ロ号、ハ号各商品とは、形も異なり、商品名、パッケージデザインが異なるところ、現代社会におけるゲーム機の購入者は、各商品表示の差異による識別能力を有しており、混同して購入することは皆無に等しいことなどを主張するが、いずれも原審における控訴人の認否及び主張と異なるものではない。)
第三 証拠
証拠関係は、本件記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、原判決主文掲記の限度で被控訴人の控訴人に対する請求は理由があり、その余の部分は理由がないものと判断するが、その理由は、次のとおり、付加、訂正するほかは、原判決の理由欄第一及び第二(二一頁二行ないし六八頁一〇行)記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決三六頁九行目、五二頁六行目、六八頁五行目及び同頁九行目の各「原告両名」をいずれも「被控訴人及び株式会社ウイズ」と改める。
2 同四一頁九行目の「があるものと認められる。」の後に、行を改めて、次のとおり加える。
「控訴人は、原告商品とイ号商品とは、形態に相違があり、また、商品の包装が全く異なるうえ、イ号商品も発売前からマスコミで紹介されたから、購入者が誤認するおそれはないし、混同を生じた例は皆無に等しい旨主張する。
しかしながら、原告商品とイ号商品の形態が実質的に同一と認められること、両商品の包装の態様も、カラフルな色彩の台紙とプラスチック製のカバーからなる点において類似していることは、前記認定のとおりである。そして、不正競争防止法二条一項一号にいう「混同を生じさせる行為」は、商品の出所あるいは営業主体について、混同のおそれを招来する行為であれば足り、現実に混同を生じた行為であることまでは必要ではないところ、前記諸事情からすると、需要者において、原告商品とイ号商品とを混同するおそれがあることは否定することができない。」
3 同六四頁七行目の「類比」を「類否」と改める。
二 よって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条一項本文、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成一〇年六月一六日)
(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 濵崎浩一 裁判官 市川正巳)